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お薬のはなし⑥ 経口血糖降下薬 その3~ビグアナイド薬~

経口血糖降下薬シリーズ第3弾。今回は「ビグアナイド薬」についてのお話です。

主なビグアナイド薬

機序 一般名 主な販売名 備考
インスリン分泌非促進系 メトホルミン メトグルコ錠250mg/500mg

ヨード造影剤を用いた検査を行うと、乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。緊急の場合を除いて、検査前から造影剤投与後48時間までは服薬中止する必要がある(詳細はメトグルコ添付文書を参照)

ブホルミン ジベトス錠、ジベトンS錠50mg

作用

肝臓では乳酸から糖が作られる働き(糖新生)がみられます。ビグアナイド薬は主に肝臓に作用し、糖新生を抑えることにより血糖値を下げる作用があります。また、消化管(小腸)での糖吸収を抑制したり、筋・脂肪組織での糖の取り込みを促進したりすることによって、血糖値を改善させます。

適応

肥満やインスリン抵抗性を有する2型糖尿病が第一適応ですが、非肥満例にも有効とされています。
腎機能障害を有する場合(eGFR30ml/分/1.73m²未満の場合や透析患者)は投与禁忌であり、eGFRが30以上60未満の場合は慎重投与となります。特に、eGFRが30以上45未満または75歳以上の高齢者では、腎機能や肝機能を定期的にモニタリングし、より慎重な判断が必要です。

副作用

・乳酸アシドーシス・・・高齢者や心血管・肺機能障害者、肝機能障害、腎機能障害がある場合は乳酸アシドーシスをきたすおそれがあるため注意を要します。乳酸アシドーシスとは、血液中の乳酸が過剰になった状態であり、腹痛や悪心・嘔吐、脱水、低血圧などが起こり意識を失うこともあります。高齢者に限らず、比較的若年者への少量投与でも、乳酸アシドーシスを起こす可能性があることに注意が必要です。

・ビタミンB12欠乏・・・ビタミンB12の吸収阻害作用を有するため、稀ではありものの、ビタミンB12欠乏が認められることがあります。ビタミンB12欠乏は神経障害や認知機能障害、貧血などの要因にもなるため、定期的な血中濃度測定なども考慮する必要があります。

特徴・留意点

ビグアナイド薬はインスリン分泌を刺激しないため、単独使用では低血糖や体重増加をきたす可能性は低いと考えられています。
繰り返しになりますが、乳酸アシドーシスのリスクを伴うため、重度感染症、下痢などの脱水時、過度のアルコール摂取、手術の前後、ヨード造影剤使用の前後などの場合は服用を中止する必要があります。強い倦怠感や悪心、下痢、筋肉痛など症状が見られる場合には、すみやかに主治医に連絡しましょう。

国内で使用されている薬の中には、イニシンク配合錠(アログリプチン安息香酸塩+メトホルミン塩酸塩)やエクメット配合錠(ビルダグリプチン+メトホルミン塩酸塩)、メタクト配合錠(ピオグリタゾン塩酸塩+メトホルミン塩酸塩)、メトアナ配合錠(アナグリプチン+メトホルミン塩酸塩)など、ビグアナイド薬の配合剤もあるため、上述のような副作用に注意が必要です。

まとめ

糖尿病薬は沢山種類があって覚えるのが大変だと感じる人も少なくないのではないでしょうか?余談ではありますが、メトグルコの名前の由来は、主成分である「メトホルミン」とブドウ糖を意味する「グルコース」から来ているそうです(他にも由来があるかもしれませんが・・・)。薬の勉強をする際には、薬品名の由来を辿ってみるのも面白いかもしれませんね。次回は「αーグルコシダーゼ阻害薬」について紹介します。

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この記事を書いた人

総合病院の一般病棟で働く看護師です。
日々の自己学習や趣味の記録としてブログを活用しています。

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