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お薬のはなし⑤ 経口血糖降下薬 その2~速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)~

経口血糖降下薬シリーズ第2弾。今回は「速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)」についてのお話です。

主な速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

機序 一般名 主な販売名 備考
インスリン分泌促進薬 ナテグリニド スターシス、ファスティック 空腹時血糖がかなり上昇している症例には効果が期待できない。重篤な腎機能障害ではナテグリニドは禁忌である(ミチグリニドは慎重投与)
ミチグリニド グルファスト
レパグリニド シュアポスト

作用

前回の記事で紹介したスルホニル尿素薬(SU薬)と同じく、膵β細胞を刺激することによりインスリン分泌量の低下を改善するお薬です。SU薬との違いはその作用時間です。SU薬が1日の血糖値を全体的に下げることに対し、グリニド薬は服用した直後の短時間のみ作用する薬剤です。

適応

2型糖尿病における食後高血糖の是正に用います。

副作用

  • 低血糖・・・冷や汗がでる、気持ちが悪くなる、手足がふるえる、ふらつく、力のぬけた感じがするなどの症状が急に出現したり持続したりする。
    (余談ですが、以前、某Drが低血糖の症状を「はひふへほ」で分かりやすく表現していた為、ここで紹介します。
    は:腹が減る、ひ:冷や汗が出る、ふ:震える、へ:変になる、ほ:放っておくと倒れる)

    ⇒このような症状がみられる場合は、吸収の速い糖分(ブドウ糖)などを摂取する。糖分を摂取しても症状の改善がみられない場合は、医師や薬剤師に連絡しましょう。
    ⇒高所作業、自動車の運転などに従事している場合は注意しましょう。
  • 肝機能障害
    ⇒頻度は非常に稀です。倦怠感、食欲不振、黄疸などが続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡しましょう。

特徴・留意点

SU薬に比べると血糖降下作用は弱いですが、服用後15分程度で効果があらわれ、約30分で最高血中濃度に到達します。SU薬よりも作用が早く発現し、持続時間が短いという特徴があります。食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱するため、食直前に服用する必要があります。(ナテグリニドやレパグリニドは食直前10分以内、ミチグリニドは食直前5分以内の服用が必要と言われています。)
服用してから食事を摂るまでの時間が空くと、低血糖になるリスクが高まるため注意しましょう。作用機序はSU薬と同様であるため、原則としてグリニド薬とSU薬は併用しないこととされています。
尚、グリニド薬の一つであるレパグリニド(シュアポスト)は「他の速効型インスリン分泌促進薬と比べて作用時間が長いため、投与後数時間は低血糖を起こすことがある」と添付文書に記載されています。他のグリニド薬と比べて低血糖の発現頻度が高いという記載もあります。いずれの薬剤を使用するにしても、低血糖への備えは必要不可欠と言えるでしょう。

まとめ

2型糖尿病の食後高血糖を是正するグリニド薬。繰り返しになりますが、効果的に食後の高血糖を抑制するためには、正しいタイミングで服用することが大切です。それぞれの薬の特徴をおさえて、服用中の人に分かりやすく説明できるように勉強していきたいと思います。次回は「ビグアナイド薬」について紹介します。

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この記事を書いた人

総合病院の一般病棟で働く看護師です。
日々の自己学習や趣味の記録としてブログを活用しています。

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